2014年9月11日木曜日

Les Inrocks - "Mr X - Le cinéma de Leos Carax": portrait d'un cinéaste invisible

[World News #095] レオス・カラックスについてのドキュメンタリー “Mr.X” 謎と情熱の化身  既にご存知の方も多いのではないだろうか。『ホーリー・モーターズ』のメイキング・ドキュメンタリー “Drive in Holy Motors” を監督したテッサ・ルイーズ=サロメ(Tessa Louise-Salomé)によるレオス・カラックスに関するドキュメンタリー、“Mr.X”(原題:“Mr.X- Le cinéma de Leos Carax”)が今年の1月にサンダンス・フィルム・フェスティバルにて上映された。*(1) そして今年の8月にアメリカで封切られ、フランスではテレビチャンネル「アルテ」(Arte)で9月に初公開されたようだ。*(2) “Mr.X”予告編 http://ift.tt/1qmnOgY  タイトルの“Mr.X”が示唆するように、レオス・カラックスはあえて自分の存在を隠すように、メディアへの露出を極力控えるため、世界の映画作家の中でも非常に不透明な存在で、言及がしづらい監督の一人として知られている。ここ30年で彼が雑誌のインタビューに応じた数は十件に至るかも怪しく、テレビでのインタビューはもっと少ないとされている。 そんな彼に関するドキュメンタリー“Mr.X”においても、カラックスはあまり多くを語らないという:  「彼は明らかに、テッサ・ルイーズ=サロメの映画の中でも、発言することを拒んでいる(あるいは、非常に強烈な選択となっただろうが、サロメが彼に発言を提案することもあり得たかもしれない。)。シネアストがこっそりと、彼の映画によって取り憑かれた場所(『ホーリー・モーターズ』のサマリテーヌや、『ポンヌフの恋人』のポンヌフ)へ再度訪れるという、洒落た導入シーンが、カラックスによるこのドキュメンタリーへの唯一介入だ ――― もっとも幾つかのオフ・ボイスによって支えられていることを除けばだが(と言っても、それが果たして今回録られたものなのか、それとも昔のレアなインタビューなどから引き抜かれてきたものなのかは、断言しにくいところである)。」*(3)  このドキュメンタリーではカラックス本人が殆ど登場しない代りに、彼の元で働いたスタッフや協力者たちが登場する。その中には撮影監督のカロリーヌ・シャンプティエ、女優のエヴァ・メンデスやカイリー・ミノーグ、批評家のセルジュ・トゥビアナやケント・ジョーンズ、そして映画監督のハーモニー・コリンや黒沢清などがカラックスについてコメントしているようだ。そして彼らの発言が非常に論理的な形で、カラックスの作品から切り取られた映像のシーンやシークエンスと相まって、彼の作品に込められた真意が浮かび上がるようなダイナミックな構成となっているという。  エヴァ・メンデスは本作でレオス・カラックスのことを「不可知の存在、亡霊の帰還」と評している。*(4)そしてこのドキュメンタリーも一見すると、カラックスは身体のある人というよりは、まるで幽霊のような存在となっているようだ。それは彼の身体や声といったものがあまり現れない反面、彼の作品の抜粋やスタッフと協力者のコメントなどによって、彼の存在を知覚できるような構成となっているからかもしれない。しかし、Les inrocksのジャン=マルク・ラランヌは、“Mr.X”の作中におけるレオス・カラックスの不在は、むしろ彼の「不在」という存在感を巧みに利用した興味深い作品、という見解を示している。  「非常にヴィジュアル的で、まるで見せ場のように築かれたシーンのロジック、ダイヤモンドの輝きのような構図、カラックスの映画は特にこれらの混ぜ合わせに向いている。そして“Mr.X”はとてつもないほど彼の映画に再び没頭したい気を起こさせる。」*(3)  しかし、その一方でIndieWireなどでは、“Mr.X”に対して全く別の見解を示している:  「テッサ・ルイーズ=サロメの“Mr.X”はアーティストの作品を探るという、自己満足の粋から抜けられていない。しかし、依然として魅了されるような体験があり、現代映画において最も謎に満ちた作家のアピールに感謝を」*(5)  IndieWireはLes inrocksとは異なり、“Mr.X”はカラックスの才能を証明するものではあるが、カラックスの新たな一面を発見できるものではないと指摘している。つまり、ファンだけに向けられている作品であるという厳しい見解もあるようだ。  日本で果たして公開されるのかは分からないが、レオス・カラックスに関するドキュメンタリー、“Mr.X”はカラックス作品を改めて捉えなおすきっかけとなる作品であり、願わくばカラックスを知らない世代にとって、彼を知るきっかけとなる作品でもあってくれれば幸いだ。  「80年代後半に、ジャン=リュック・ゴダールが「レオス・カラックスについてどう思いますか?」という質問に答えている、非常に美しいアーカイヴのシークエンスがここに掘り起こされている。2秒ぐらい考察した後に、不可解な笑みを浮かべて、ゴダールはゆっくりと、あの伝説的な活気のない声でこう答える:「彼には是非とも、頑張ってほしい」」*(3) 楠 大史 http://ift.tt/1nNKtgz http://ift.tt/1qmnPRT *(2) http://ift.tt/1nNKtwP http://ift.tt/1cRl9UO *(4) http://ift.tt/1c9aXGL *(5)

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