2014年9月26日金曜日

Werner Herzog's Rogue Film School

[World News #102] ヴェルナー・ヘルツォーク映画術 IndieWireによるThe Rogue Film School授業レポート 「The Rogue Film Schoolは意気地がない者の来るところではない。自分の足で旅をした者、セックスクラブの用心棒や精神病院の監視員として働いていた者などが、いかなる企画に関わらず、あらゆる国で撮影許可を得るための錠破りや、偽造する方法を学ぼうとする者たちに向けられた場所である。端的に言えば:詩的なセンスを持っている者たち、旅人たち、4才の子供の注意を惹きつけながら自分の物語を語れる者たち、自分の心の中に燃える炎を宿す者たち、そして夢を抱く者たちだ。」(*1) ― ヴェルナー・ヘルツォーク ―   ヘルツォーク自らが設立した映画学校The Rogue Film School(ならず者の映画学校)は2010年から引き続き、今年で4年目を向かえる。授業は3日~4日間のセミナー形式で、開催場所と時期さえもその都度変わるという、まるでノマドのような授業スタイルを有しているユニークな映画学校である。  The Rogue Film Schoolの授業に参加するためには、まず自分の作品や経歴などを送り、ヘルツォークの審査を通った者たちのみ、参加できる仕組みとなっている。また、授業は技術的なことは一切教えず、主にヘルツォークや他の参加者との対話が中心になる。今年は8月の22日から25日にかけてロサンゼルスで行われ、5回目の授業に参加したMarie-Françoise Theodore氏が授業の詳細をIndieWireに寄せており、ヘルツォークによって教えられたことを12個の項目にリスト化している。これらの項目はあくまで個人の見解によるものだが、The Rogue Film Schoolで行われる授業の一端が垣間見られるものとなっている (*2): 1・読んで、読んで、読みまくる ヘルツォークはセミナーが始まる数週間前に長い読書リストを参加者に送りつけ、すべてに目を通すように言い付けたという。その中には詩や、ヘミングウェイからノンフィクションに至るまで、様々なジャンルに及んでいる。しかし、映画の演出論や脚本術などの本は含まれておらず、いかにストーリーを物語るのかを掴むために、多くの読書をする必要性があると指摘している。 2・早く書き上げる 「私はシナリオを書き上げるのに5日かかる」 「もし君が2週間以上もそれに費やしているのだとしたら、何かが間違っているということだ」 ヘルツォークは物語のアイディアがやってくるまで、座ってじっと待っているのではなく、頭の中にある考えを口述していき、物語を作っていく。しかし、彼に適した方法が必ずしも他者に当てはまるとは限らないと本人が悟った為、自分で方法を見出すしかないとのこと。ちなみに彼の秘訣はシナリオを執筆する4~5日前に、ウォーミングアップとして詩だけを読み漁ることらしい。 3・支払われること 「映画監督は自分の仕事を支払われる必要がある。自分のポケットマネーを絶対に使ってはならない」 例えば、予想外に膨らんだポスト・プロダクションの費用を監督が支払う必要が出てくるようなケースなどは、決してあってはならない。 4・失敗を恐れない 「私は自らの失敗による産出物である」 「映画のセットはノー・クライ・ゾーン(泣きごとを言わない区域)だ」 どんな問題や不都合に見舞われようとも、決して映画のセットで泣きごとを言わないよう、心得ておくこと。 5・深く追求する 「最も深い領域まで、なるべく早く達すること。それらを最も高い領域にまで持っていき、落とさないようにすること」 映画を見ている者の心に深く潜り込んで、留まるようなものを追求する。 6・自分のビジョンを守る 「自分のビジョンはしっかりと確定させておくべきだが、セットにおいて暴君と化さないこと」 クリアなビジョンを持っているのであれば、誰かにそのアイディアを批判されても、論理的な反論と説得ができるような柔軟性を持つこと。 7・ビジネスを学ぶ ヘルツォークは基本的な法律の概念を学ぶことで、映画の費用や資金調達などについて知ることを勧めている。また、「決して弁護士に自らのことを交渉させないこと」と述べている。 8・お金の動きを追う 「資金の動きを見る」 「キャメル(CAMEL)の値段を知っておくこと」 ヘルツォークは毎晩、撮影が終わると資金を数えるらしく、資金の流れを理解することで、撮影状況を正確に把握できるようだ。 9・「もし君が2日経っても仕事が得られない場合、2年経っても仕事は得られないだろう」 10・自分だけの真理を作りだす 「事実は真理を構築しない」 「真理を照らしだすような現実を構築すること」 単に事実を述べるのではなく、心の内にある感情的な世界を語るようにする。 11・足を使って旅する 「観光旅行は罪だ。足を使って旅をするのは美徳である」 ヘルツォークはその土地に住んでいる人たちと同じ立場にまで接近して、人生をより近くで見なければならないと強く主張している。 12・Do it 「映画監督の使命はオーディエンスに畏敬の念と不思議な感動を人々に植え付けること」 自分の持っているすべてのものを注ぎ込んで、どんなことがあろうとも次のステップへ進み、自分の映画をつくること。  今から29年前、ヴィム・ヴェンダースの『東京画』に映る、若きヘルツォークはこのようなことを述べていた: 「我々の文明の状況と我々の内面の最深部、その両方に照応する映像が必要だ。つまり、それが必要ならば、たとえ戦場にでも行くことだ。8000メートルの山に登る必要があったら、どんなに難しくても登るべきだ。純粋で、澄んだ、透明な映像を得るためには・・・探さなくては・・・私は火星にだってロケットが飛ぶなら土星にも行く。NASAのスペースシャトルに生物学者や技術者を乗せ、宇宙空間で実験を行うというプロジェクトがある。私もカメラを持って同行したい。もうこの地上には昔のように映像に透明性を与えるものは見いだしえない。かつて存在したものはもうない。私はどこへでも行く」(*4)  それから25年後、『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』などを撮り、相変わらず人々を魅了するようなイメージを追い求めているヘルツォークでありながらも、The Rogue Film Schoolで行われている授業ではストーリー・テリングの重要性やメトディックなことを教えているようだ。しかし、授業で教わるヘルツォーク映画術はまさに彼の生き方そのものである。ヘルツォークはいかなる状況や立場に置かれても、自分のヴィジョンをイメージとして作り出すことのできる人物を求めている。  そんなドイツの鬼才ヴェルナー・ヘルツォークも71才となり、今年中にはニコール・キッドマン主演、ジェームズ・フランコやロバート・パティンソンも出演する"Queen of the Desert"が公開予定となっている。今回のイメージの舞台は砂漠となるようだ。(*3) 楠 大史 http://ift.tt/1hKseKY (*1) http://ift.tt/1mW6oap (*2) http://ift.tt/U52NZt (*3) 『東京画』(1985) ヴィム・ヴェンダース (*4) http://ift.tt/1xp46Uy 参考資料 http://ift.tt/1t1BidW

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2014年9月25日木曜日

[World News #101]independent film weekがNYで開催されました ニューヨークでifp主催のifw(independent film week)が9月14日から18日までの期間、開催されました。毎年開催され、36回目となる今回は「明日のための素晴らしいストリーテラーを発見し支えていこう」と銘打って133の映画が発表されました。ただし、ここでの『ストーリーテラー』を単に映画監督と捉えることはあまり正確では無いように思われます。 ifwを主催するifpとはindependent filmmaker projectの略称であり、その名の通りインディペンデント映画を支えていく団体です。彼らの活動は、インディペンデント映画の製作者を産業や観客などに結びつけることに主眼を置いています。その活動の仕方はあらゆるメディアを駆使することによって、新たな観客を生み出そうという試みでもあり、必然的に、ソーシャルアートなど映画以外の分野とも関わりを持っていくことにもなります。 ifwはそうした彼らの活動の最も主たるものであり、監督会議や公開討論会などもそこに含まれます。ifp主催のジョアナ・ヴィンセントは少し前の活動であるNYメディアセンター開催時のインタビューでこう述べています。 「現在、自分を映画監督だと認識することは興味深いことのように思います。何故なら、いまは単純に映画監督と呼ぶことが難しいからです。誰もがあらゆるものに繋がった芸術家であり、様々な領域にまたがる仕事をしています。そして、それはこのメディアセンターが調査していることなのです。私たちはインターネットの分野や、まだ多くの映画製作の基盤となるものたちをも取り上げます。会議内容は伝統的な単に映画を取る方法だけではなく、資金調達やプロデュース、パッケージの仕方、配給にまで及びます。こうした動きは、これまでとまったく違う映画のモデルを見ようとすることです。どのように人々が文脈を作り、配給に影響を受け、自らのブランドを作るためにリスクを必要とするかということまで考えます。そうすることで、人々は単純にある一つの同じ映画の観客にならないということが言えると思います。」※ こうした発言などから、ifwでの『ストリーテラー』とはネットの普及に伴い、語り手となる可能性を持ったあらゆる人のことであるということは明らかでしょう。会議や公開討論会は何回も行われ、そこでは様々なことが問題点として指摘されました。クラウドファンディング、デジタル化、ネットでの盗用、あるいはテレビなどいずれも切っても切れないような共通した問題が伺えます。旧来の考えではいわゆる作家主義に代表されるように作り手を重視する言説が作られてきました。しかし、現在は受け手の問題が盛んに考えられるようになっています。むしろ投資により先に観客を作る可能性や、盗用の危険性を冒してまでの動画サイトの活用を盛んにすることで映画をより開けたものにするといったことが語られています。そこでは、作り手よりむしろ横断的に情報を選び取ることで観客、つまり読み手自らが『ストーリー』を作り出すといった可能性まで考えられます。このように、観客側の可能性を考えることで、インディペンデント映画のための場を作り出そうというのが、ifwの試みとも言えます。 こうした考え方、分野横断的な場作りの話は日本でも良く聞く話ですが、確実に日本とアメリカでは違いがあります。例えば、日本ではアイドルやアニメのようなサブカルチャーのコンテンツで発生しているオタクコミュニティが盛んで、インディペンデント映画よりむしろこっちのほうが分野横断的な場に当たっていると思います。アメリカでは30年以上も続くifpが横断的に観客作りを行い、Indiewire等の他サイトがそれに対する記事を発表し接続したりすることにより、インディペンデント映画にスポットライトが当たった一定量の言葉の場作りが出来ています。何が、どういった目的で語られているのかは区別して考えていかなければなりません。単純に比べたりすることは出来ませんが、アメリカでインディペンデント映画に横断的な言葉を作っていく動きがあるということは、日本の私たちにとっても注目していかなければならないことだと思います。 横浜国立大学 三年 三浦 翔 http://ift.tt/1ofDLiA *(引用) http://ift.tt/1o1PSk9 IFPサイト http://ift.tt/1BapWbU 参考 Indiewire http://ift.tt/1mEod6V http://ift.tt/1BRcjRj http://ift.tt/1tQq4x2 http://ift.tt/1BapXN2

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2014年9月24日水曜日

Uneasy Lies the Mind

[World News #100] iPhone 6のカメラは映画制作に革命を起こせるか? 今月19日、国内でiPhone 6 /iPhone 6 Plusが発売され注目を浴びています。 過去にも新モデルが発売されるにつれ、様々な新機能が人々に衝撃を与えてきましたが、中でもカメラの性能の向上は目を見張るものがあったと言えるでしょう。今回はそんなiPhone 6の新しいカメラが映画制作にもたらす影響について述べた、indiewireの記事をご紹介します。 以下引用 (元記事: http://ift.tt/1txstwy) 新発売のiPhone 6のカメラと同時に、インディー映画制作者たちは思いのままになる比較的手ごろなツールを手にすることになる。 昨年の暮れ、私たちは携帯で撮られた映画が未来を切り開くかどうかについて言及した(#1)。そして今、iPhone 6の新カメラの登場によって新しく進歩した技術が映画制作の民主化を推し進めるにつれ、その論点はより意義あるものとなるだろう。 Wired.comが指摘するように、「iPhone 6 / iPhone 6 Plusと、それらに搭載されるモーションコプロセッサ、より高速なCPU、大画面化をめぐる大騒ぎの中で、より高性能なカメラの搭載も同じように発表された。そして、それらのニュースがバーで完璧なセルフィー(自撮り)を撮ろうとする人々を喜ばせる一方で、こう銘打たれた新たなビデオ撮影機能が注目を浴びている:映画制作者――とそれを目指す人々――がポケットに入れておける高品質カメラ」 (#2) iPhone6のiSightカメラの特色の中でも特筆すべきなのは、ビデオ撮影中の連続オートフォーカス、映画レベルのビデオ手ぶれ補正、そして120fpsと240fpsの双方で録画可能なスローモーション撮影だ。新搭載のセンサーは、タイムラプス録画とHDR(ハイダイナミックレンジ)ビデオだけでなく、60フレーム/秒の1080pHDビデオ撮影も可能にする。また、f/2.2の開口部も特徴の一つであり、暗い場所での動画撮影も問題ない。 近年、少なくとも一部がiPhoneで撮影された映画が批評家の注目を集めており、その中にはアカデミー賞受賞作であるドキュメンタリー『シュガーマン 奇跡に愛された男』(2012)や、イランのジャファール・パナヒ監督による『これは映画ではない』(2011)(全米映画批評家協会ノンフィクション作品賞を受賞)も含まれている。また、パク・チャヌクは、短編ホラー映画『ナイト・フィッシング』(2011)を全編にわたってiPhone4で撮影した(#3)。リッキー・フォシェイムも、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で上映され、現在はVODで配信中の代表作『And Uneasy Lies the Mind』(2014)をiPhone5で撮影している。 数年前までは、携帯で映画を撮影(もしくは鑑賞)するという着想は現実的ではないとみなされていた。しかし、今や映画祭全体がiPhoneで撮影された映画で持ちきりだ。なぜか?それは、「映画」という言葉が厳密にはそぐわないとしても、撮られた作品たちの魅力が失われてしまうということは決してないからである。 早稲田大学文化構想学部4年 西山 晴菜 #1 http://ift.tt/1iMJjn0 #2 http://ift.tt/1skwNys #3 http://ift.tt/1v8GSib 『シュガーマン 奇跡に愛された男』http://www.sugarman.jp/ 『これは映画ではない』http://ift.tt/1mOmRNN 『And Uneasy Lies the Mind』 http://ift.tt/1v8GSie

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2014年9月23日火曜日



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[World News #099] Rotten Tomatoesの時代に映画批評家はどこへ行くのか? 映画批評の衰退が危惧されているのは、決して日本ばかりの現象ではありません。質的問題ではなく、出版業界全体の斜陽、そしてネットやブログ、SNS普及によるユーザーレビューの飽和、あるいはRotten Tomatoes(#1)に代表される数値化されたユーザー満足度が今やプロフェッショナルの知識や経験、文章力などに裏打ちされた原稿を物理的・経済的に駆逐しつつあるのが世界的傾向となっています。 しかし、それが時代の趨勢であるとは言え、果たして正しいことなのか。そこで失われる貴重な文化はないのだろうか。こうした問題を問うのは、また全く別のことではないでしょうか。たとえコンビニのPOSシステムに近いものによって、商品の人気度や売れ行きが管理され数値として把握されるにしても、映画の歴史は決して興行的成功作の歴史ではなかったからです。 昨年、ピューリッツァー賞を受賞したこともあるアメリカの著名な映画批評家ロジャー・イーバート(#2)が70歳で亡くなりました。彼の人生や映画への想い、そしてガンとの闘いを描いたドキュメンタリー『Life Itself』(#3)は、今年のカンヌ映画祭やサンダンス映画祭などで上映され、大きな話題を呼んでいます。そして、この作品に寄せて、カナダの映画プロデューサーであり監督でもあるバリー・アヴリッチ(#4)が「Rotten Tomatoesの時代に映画批評家はどこへ行くのか?」と題した一文を「The Globe and Mail」誌に寄稿しています(#5)。とても興味深い文章なので、以下にその要旨を訳出します。 まず、アヴリッチは現場の人間として、自分もまた映画批評によって傷ついた経験があると告白します。「映画批評家は戦闘に参加せず、後になってやってきてけが人を撃つような連中だ」という仲間の言葉もユーモラスに紹介しています。しかしその一方で、映画批評の力やその芸術、感動を否定するならば、自分はフィルムメイカーとして嘘をつくことになってしまうとも認めます。ポーリン・ケイルによる「映画批評は情報を伝える唯一のインディペンデントなソースである。これ以外は全て宣伝だ」という言葉も肯定的に伝えています。 そして、『Life Itself』のカンヌ上映後、イーバートの思い出を語る人々にタイトルと同じ質問をアヴリッチがぶつけてみたところ、それぞれ以下のような答えが返ってきたとのことです。 まず、映画監督であるアトム・エゴヤンは、新人映画作家やインディペンデント作家にとって現在なお批評は絶大な力を持っていると述べます。しかし、新しい世代のシネフィルはカリスマ的批評家の言葉をよりもメタスコアのような統計を追いかける傾向があり、ユーザーレビュー飽和の中、かつてアンドリュー・サリスをフォローしたような行動が取りにくいとも述べています。 「Variety」誌のロバート・ベリーニは、映画批評はインディペンデント作品がメインストリームのアウトレットになるか、それともそれ独自のブランド力を持って固有の観客にアピールできるかを仕分ける力を持つが、一方でメインストリームの興行成績には殆ど力を持ち得ないと指摘します。 「The Globe and Mail」誌のリアム・レイシーやトロント国際映画祭のキャメロン・ベイリーは、映画批評のネガティブな状況をさらに分析し、シネフィルの鑑賞傾向に大きな影響を及ぼすようなカリスマ的映画批評家というのはこれまでにほんの数える程しか存在しなかったと述べます。さらに、ミレニアル世代は音楽にせよ書籍にせよ映画にせよ、自分で自分の好みをキュレーションすることに喜びを感じ、自分自身で判断することに価値を置いているのだと述べます。 さらにクリス・マクドナルドによると、映画批評の象牙の塔は、大いなる平凡さによってレイプされたとのことです。私たちが生きているのは、平均的な映画ファンが「The New York Times」の映画評よりもRotten Tomatoesのスコアの方にずっと関心を持つ時代なのだ、と彼は言います。 「The Times」のA.O.スコットは、映画批評が映画の興行的運命に大きな影響力を持ち得たことがあるとは信じていないと述べます。映画ファンというのはいつだって批評家の言葉なんて喜んで無視するものだから、と。しかし、映画のインディペンデントなスピリットを理解しようとしない宣伝会社や映画会社が、これを口実に映画批評が果たしてきた歴史的役割をドブに捨てようとしていると彼は批判します。 一方、著名な映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインは少し違った見方をしています。彼によると、ソーシャル・メディアの時代において誰もがある種の映画批評家になれるのは間違いないとのことです。しかし、それが影響力を持つのは量のレベルにおいてであり、決して質のレベルではない。それ単独で存在し強い影響力を持ち得るのは、いつだって著名で信頼の置ける映画批評家の言葉なのだ、とのことです。 その一方でワインスタインは、映画批評家はもはや映画を愛しているだけでは十分じゃない、とも指摘します。彼らは、デジタル時代と折り合いを付ける必要があるのだ、と。 A.O.スコットは次のように付け加えます。職業としての批評は確かに現在問題を抱えている。しかし、批評そのものはいつだって芸術の本質的な一部であり、欠くべからざるものであるのだ、とのことです。 アヴリッチは、最後にイーバートが生前口にした最後の言葉を引用しています。 「それでも映画批評を気にかけている人々は、これからもずっと映画批評を読み続けるだろう。」 大寺眞輔 http://blog.ecri.biz/ http://ift.tt/1knGQPv http://ift.tt/NSy3rx #1 http://ift.tt/eRHqFl #2 http://ift.tt/14q2qf3 #3 http://ift.tt/1kh1vRX #4 http://ift.tt/1kw9Mn8 #5 http://ift.tt/1sFDVFP

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2014年9月19日金曜日

『IO STO CON LA SPOSA - ON THE BRIDE'S SIDE』 ON THE BRIDE'S SIDE



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『Villa Touma』  Villa Touma



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Suha Arraf Villa Touma



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[World News #098] パレスチナ映画を通して見えてくる〜映画の国籍 今回は第71回ヴェネツィア映画祭におけるパレスチナ映画2作をご紹介し、映画の”国籍”について考えたいと思います。 パレスチナを国と見なすか、もしくは自治区という位置づけにするか。これはパレスチナ・イスラエル問題が解決しない限り論争を招く問題です。そして国際映画祭も同じ問題で頭を抱えているのです。国際映画祭にとって映画製作費の出資元がどこであるかが、パレスチナ国とパレスチナ自治区の境界線を引く鍵になっているようです。 以前、[World News #072](http://ift.tt/1uYPg2U)でご紹介したハニ・アブ・アサド監督の映画『パラダイス・ナウ』は、2006年ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞し高い評価を受けましたが、作品が”パレスチナ”映画なのか、または”パレスチナ自治区”の映画であるのか論争を引き起こしました。この時、論点となった一つの問題は、制作資金の出資元はどこか?『パラダイス・ナウ』の資金がヨーロッパやイスラエルから出ていた事から監督は強くパレスチナ国の映画として主張できませんでした。このことから監督は、今年第86回アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、カンヌ映画祭ある視点・特別審査員賞を受賞した『オマール、最後の選択』をDubai International Film Festivalからの出資を除けば、制作資金の95%がパレスチナ人のお金でありパレスチナ国による映画として出品することができました。 さて、第71回ヴェネツィア映画祭でのパレスチナ人監督による作品『Villa Touma』も映画の国籍そして出資元に関する論争を巻き起こしています。 『Villa Touma』 2004年日本でも公開された映画『シリアの花嫁』の共同脚本家スハ・アラフによる初の長編作品です。『Villa Touma』は、エルサレムのカトリック系孤児院で育った18歳のBadiaが3人の叔母が暮らすRamallahの村に移り住み、嫁入り修行に挑みます。3人の叔母は、パレスチナでは少数派となったキリスト教裕福層の名残であり、Badiaに彼女らの仕来りを教える様子はブルジョア階級の国境を越えた共通性を垣間見ることができます。監督自身、ヨーロッパと変わらないパレスチナの姿を見てほしかったと語っています。スハ・アラフ監督はイスラエル生まれのパレスチナ人であり、イスラエルにおけるマイノリティとして暮らしてきました。さて今回の本題である『Villa Touma』の”国籍”に移りたいと思います。 ハニ・アブ・アサド監督同様、『Villa Touma』はその監督の国籍と制作資金の出所どちらを映画の国籍として認めるかが問題になっています。『Villa Touma』の制作資金約$400,000がNew Israel Fund (NIF) つまりイスラエル国民の税金から出ているのです。このことから、ヴェネツィア映画祭に『Villa Touma』を”パレスチナ”映画として出品したスハ・アラフ監督をイスラエルの科学文化スポーツ省は非難し$400,000を返済するよう命じています。一方で、スハ・アラフ監督は制作資金を調達する段階でアラブ系財団にアプローチしたが応対がなく仕方なくイスラエルからの出資を引き受けたと述べています。また、パレスチナ政府による強い非難に対して監督は、”イスラエルに住む20%がパレスチナ人であり私たちも税金を払っているのでイスラエル国からの資金を利用するのは私の権利である。私はイスラエルで暮らすパレスチナ人でありナショナル・アイデンティティを主張する権利があり、映画はその制作者の国籍を受け継ぐ”などと主張しイスラエル政府に反論しています。 一方で制作資金問題を上手く回避しパレスチナ映画としてヴェネツィア映画祭で誰にも文句を言われる事なく出品する事ができたのが『IO STO CON LA SPOSA - ON THE BRIDE'S SIDE』(أنا مع العروسة)です。 『IO STO CON LA SPOSA - ON THE BRIDE'S SIDE』 Antonio Augugliaro/Gabriele Del Grande/Khaled Soliman Al Nassiryによる思いつきで14日間でシナリオを準備、4日間で撮影された作品です。また制作資金の約半分はクラウド・ファウンディング(INDIEGOGO)で集められました。 パレスチナ人の詩人とイタリア人ジャーナリストが、シリアから逃れスウェーデンを目指す5人のパレスチナ人とシリア人にミラノで出会い、彼らのスウェーデンまでの道のりに協力するストーリです。彼らは5人の難民が安全に国境を越えるために架空の結婚式を想定し、スウェーデンでの結婚式に出席する花嫁と花嫁の親族として命がけの4日間の旅が始まります。もちろん全員正装しています、ドレスを着た花嫁もいます。実際に2013年11月14日から18日まで行われた花嫁一行の旅は、シリアやパレスチナの問題はもちろんの事、ヨーロッパが抱える隠された問題をも浮き彫りにしました。この映画の3名の制作者は実際にシリアからやってくる多くの難民から想像を絶する悲しい現状を聞き、この映画制作に踏み込みました。 この映画にはマニフェストがあります。誤読がないように彼らのマニフェストの英文を貼付けます: When this film comes out, we could be sentenced to 15 years in prison for aiding and abetting illegal immigration. We are prepared to take this risk because we know what the war in Syria is like. We've seen it with our own eyes. And helping people to get out of that sea of blood makes us feel like we're on the right side. The risk we're taking is crazy. But we believe there is a community of people in Europe and around the Mediterranean who hope, like us, that one day this sea will stop swallowing up the lives of its travellers and go back to being a sea of peace, where all are free to travel and where human beings are no longer divided up into legal and illegal. This community exists. The people we met in our journey across Europe belong to it, and so do the people reading this page. There are many more of us than we think, and this is the film we needed. A film manifesto for all those who believe that travelling is not a crime, and that the real crime is averting your eyes to death by travel on our Mediterranean beaches, and deaths by war in Syria. (http://ift.tt/1n9HPX1) マニフェストにあるように映画スタッフ及び出演者の中には実際の亡命者も数名いたことから国境を越える旅の撮影中に捕まれば彼らは亡命者に協力したという罪で15年間の実刑が言い渡される可能性がありました。しかし彼らはこのリスクを負ってまでも現状を多くの人に伝えたかったのです。映画のエンドロールにはクラウド・ファウンディングを通じて出資した一人一人の名前が記載されているそうです。この映画は制作者、出演者そして出資者の国境が消滅しパレスチナ及びシリアを始めとした紛争の絶えない国々で踏みつぶされる儚い命への”想い”が作らせた映画であり今後の映画制作の新たな形であるように私は感じました。 『シリアの花嫁』:http://ift.tt/1uYPdnA 『Villa Touma』: http://ift.tt/1n9WDA2 http://ift.tt/1uYPdnB http://ift.tt/1qQ4OaS 『IO STO CON LA SPOSA - ON THE BRIDE'S SIDE』: http://ift.tt/1tb89PM http://ift.tt/1n9HPX1 [World News #072] パレスチナ映画:『オマール、最後の選択』 http://ift.tt/1uYPg2U by Sevin アートな中東 http://ift.tt/1uueu9e

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2014年9月18日木曜日



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[World News #098] デヴィッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』 インタビューからみる彼の魅力 9月26日から10月12日にかけて行われたニューヨーク映画祭において、オープニング作品をつとめ話題となっていたデヴィッド・フィンチャー監督最新作『ゴーン・ガール』が、12月12日に日本でも公開されることが決まっている。 本作の主演を務めるのはベン・アフレック、脚本はギリアン・フリンのベストセラー同名小説をもとにしている。これまでのフィンチャーの作品と同様に、公開前には作品についての情報やヴィジュアルがほとんど漏れてこないが、むしろ期待が高まっている。一足先にNY映画祭でお披露目された本作の評判は上々だ。 彼は、Playboyの10月号で自分の考えを知ってもらいたいと、インタビューを受けている。(注) この記事をもとに、デヴィッド・フィンチャー自身の考え方、彼の作品の魅力について考えたい。以下に、監督のコメントを引用する。 ソニー・ピクチャーズで『ドラゴンタトゥーの女』、21世紀FOXでは『ゴーン・ガール』を撮った彼だが、ハリウッド・メジャーのような大手のスタジオの在り方は人々の映画鑑賞にいい影響を与えないとしている。彼は「スタジオは映画を見る人を、群集心理的に、家畜小屋に入れられた牛にしてしまう」と言う。同調することを求め、観客を画一化してしまう装置だというのだ。 「僕の映画に携わる人には、もしスタジオで映画を撮ることが、マクドナルドのビッグ・マック・バーガーを作るようなものであるなら、僕にそんなに一生懸命ついてくる必要はない、と言わねばなるまい。『ドラゴンタトゥーの女』はビッグマックではないし、『ゴーン・ガール』も違うんだから。」 「僕は僕に対して、いつも責任を持つようにしている。これが人々の求める作品になるのかどうか、それから、自分の作りたい作品を台無しにしてしまうのか。気を配るところが多いんだ。あとは、監督である僕や、作っている人間に勝とうなんかしてくる登場人物は嫌いだから、コメディは好きじゃないんだ。媚びへつらわれるは好きじゃない。僕自身が媚びを売るのもね。」  確かに彼の映画は、感情移入させて同意を求めるようなものではない。彼の映画は、映画の中でおおよそ完結しているといっていいだろう。ミステリーや殺人ものが多いのは、感動させまい、一様には同調させまいとしているのだといえるし、その傾向については本人も認めている。 怖い、汚い、不快だと感じざるを得ない描写満載の『ドラゴンタトゥーの女』は、評価が人によってはっきりと分かれるところだろう。そうして見たもの全員に強い印象を与え、決して単に「面白かったね」「気持ちよかったね」では終わらせないのが、そしてその真っ二つに割れた評価にも責任を持てるところが、デヴィッド・フィンチャーのほかの監督とは一線を画すところであろう。 何か怖いものはあるか、と尋ねると、「自己満足」と。周りに流されることなく、自分と自分の生み出す作品について非常に厳しく、だからこそ自信をもって世に送り出している監督である。そんなデヴィッド・フィンチャー監督最新作『ゴーン・ガール』、12月の公開が待ち遠しい。 則定彩香 横浜国立大3年 注 http://ift.tt/1DgbV0l 『ゴーン・ガール』公式ホームページ http://ift.tt/1mf0xwt

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2014年9月13日土曜日

The Best And Worst Of The 2014 Venice Film Festival

[World News #096] 第71回ヴェネチア映画祭結果発表 9月6日、世界三大映画祭の一つであるヴェネチア映画祭が閉幕しました。今回の映画祭では、フランスの作曲家であるアレクサンドル・デスプラ氏を審査員長に、『ラスト・エンペラー』で皇后を演じたジョアン・チェン、『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』といったタランティーノ初期作品の名優、ティム・ロスなどを審査員に迎えました。 最高賞である金獅子賞にはスウェーデンの映画監督ロイ・アンダーソンの『A Pigeon Sat On A Branch Reflecting On Existence』が選ばれました。発表前はオープニング作品であったアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『Birdman』が最有力とされていましたが、予想に反して「もう一羽の鳥」である『A Pigeon』に賞は与えられ、『Birdman』は無冠に終わりました。『A Pigeon』は哲学的かつ不条理な作品でありながらコメディの要素があり、主にモンティ・パイソン、ジャック・タチ、ラリー・デヴィッドの影響を受けていることがわかります。 アンダーソン監督は受賞後のインタビューで「私が最も影響を受けたのはヴィットリオ・デ・シーカ(自転車泥棒の監督)である」と答えました。彼の作品にはシーカ監督のようなネオ・リアリズム的要素はないので、これは一見奇妙なことに思われますが、彼の作品製作の信条である「陳腐なものに詩を見つけよ」を考えると、シーカ監督の影響を受けている事がわかります。 銀獅子賞はロシアの監督アンドレイ・コンチャロフスキーによる、ロシアの人里離れた村に住む人々をそのまま俳優として、彼らの生活を追った映画『The Postman’s White Nights』でした。 審査員大賞は『アクトオブキリング』で一世を風靡したジョシュア・オッペンハイマー監督の『The look of silence』でした。『アクトオブキリング』ではインドネシアの大虐殺で1,000人を殺した加害者側の人物を追いましたが、本作品ではその虐殺で兄弟を殺した人物を探す男という、被害者側の人物を追っています。審査員特別賞にはある男の子と犬の交流を描いたカーン・ミュデジ監督の『Sivas』が、最優秀脚本賞には『Ghesseha (Tales)』が選出されました。 主演男優、女優賞は、生まれてきた子供についての男女の意見の相違をめぐるサスペンス、『ハングリーハート』に出演したアダム・ドライバーとアルバ・ロヴァケルに与えられました。新人俳優賞である、マルチェロ・マストロヤンニ賞には、『La Dernier Coup de Marteau』で、ガン患者である母との二人暮らしで、未だ会ったことのない指揮者である父の存在を知り、彼に会いに行く息子を演じたロメイン・ポールが選ばれました。 日本からは塚本晋也監督の『野火』が出品されましたが、無冠に終わりました。 今回は全体的に、アレクサンドル・デスプラ審査委員長が「政治的、哲学的、詩的な作品を選びました」と述べたように「人間」を描いた作品が多く選出されました。特筆すべきは、2年連続でドキュメンタリー映画が賞を受賞したことです。以前はオリゾンティ部門の一つであったドキュメンタリーが大きなプレゼンスを持つようになったことは注目すべきであり、今後の動向が気にかかります。また、本映画祭において、スティーブン・オカザキを監督に迎え日本の名優三船敏郎のドキュメンタリーが製作されることが発表され、大きな期待が寄せられています。 文責:近藤多聞 引用元 The Best And Worst Of The 2014 Venice Film Festival | The Playlist http://ift.tt/1tHCdBY

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2014年9月11日木曜日

Les Inrocks - "Mr X - Le cinéma de Leos Carax": portrait d'un cinéaste invisible

[World News #095] レオス・カラックスについてのドキュメンタリー “Mr.X” 謎と情熱の化身  既にご存知の方も多いのではないだろうか。『ホーリー・モーターズ』のメイキング・ドキュメンタリー “Drive in Holy Motors” を監督したテッサ・ルイーズ=サロメ(Tessa Louise-Salomé)によるレオス・カラックスに関するドキュメンタリー、“Mr.X”(原題:“Mr.X- Le cinéma de Leos Carax”)が今年の1月にサンダンス・フィルム・フェスティバルにて上映された。*(1) そして今年の8月にアメリカで封切られ、フランスではテレビチャンネル「アルテ」(Arte)で9月に初公開されたようだ。*(2) “Mr.X”予告編 http://ift.tt/1qmnOgY  タイトルの“Mr.X”が示唆するように、レオス・カラックスはあえて自分の存在を隠すように、メディアへの露出を極力控えるため、世界の映画作家の中でも非常に不透明な存在で、言及がしづらい監督の一人として知られている。ここ30年で彼が雑誌のインタビューに応じた数は十件に至るかも怪しく、テレビでのインタビューはもっと少ないとされている。 そんな彼に関するドキュメンタリー“Mr.X”においても、カラックスはあまり多くを語らないという:  「彼は明らかに、テッサ・ルイーズ=サロメの映画の中でも、発言することを拒んでいる(あるいは、非常に強烈な選択となっただろうが、サロメが彼に発言を提案することもあり得たかもしれない。)。シネアストがこっそりと、彼の映画によって取り憑かれた場所(『ホーリー・モーターズ』のサマリテーヌや、『ポンヌフの恋人』のポンヌフ)へ再度訪れるという、洒落た導入シーンが、カラックスによるこのドキュメンタリーへの唯一介入だ ――― もっとも幾つかのオフ・ボイスによって支えられていることを除けばだが(と言っても、それが果たして今回録られたものなのか、それとも昔のレアなインタビューなどから引き抜かれてきたものなのかは、断言しにくいところである)。」*(3)  このドキュメンタリーではカラックス本人が殆ど登場しない代りに、彼の元で働いたスタッフや協力者たちが登場する。その中には撮影監督のカロリーヌ・シャンプティエ、女優のエヴァ・メンデスやカイリー・ミノーグ、批評家のセルジュ・トゥビアナやケント・ジョーンズ、そして映画監督のハーモニー・コリンや黒沢清などがカラックスについてコメントしているようだ。そして彼らの発言が非常に論理的な形で、カラックスの作品から切り取られた映像のシーンやシークエンスと相まって、彼の作品に込められた真意が浮かび上がるようなダイナミックな構成となっているという。  エヴァ・メンデスは本作でレオス・カラックスのことを「不可知の存在、亡霊の帰還」と評している。*(4)そしてこのドキュメンタリーも一見すると、カラックスは身体のある人というよりは、まるで幽霊のような存在となっているようだ。それは彼の身体や声といったものがあまり現れない反面、彼の作品の抜粋やスタッフと協力者のコメントなどによって、彼の存在を知覚できるような構成となっているからかもしれない。しかし、Les inrocksのジャン=マルク・ラランヌは、“Mr.X”の作中におけるレオス・カラックスの不在は、むしろ彼の「不在」という存在感を巧みに利用した興味深い作品、という見解を示している。  「非常にヴィジュアル的で、まるで見せ場のように築かれたシーンのロジック、ダイヤモンドの輝きのような構図、カラックスの映画は特にこれらの混ぜ合わせに向いている。そして“Mr.X”はとてつもないほど彼の映画に再び没頭したい気を起こさせる。」*(3)  しかし、その一方でIndieWireなどでは、“Mr.X”に対して全く別の見解を示している:  「テッサ・ルイーズ=サロメの“Mr.X”はアーティストの作品を探るという、自己満足の粋から抜けられていない。しかし、依然として魅了されるような体験があり、現代映画において最も謎に満ちた作家のアピールに感謝を」*(5)  IndieWireはLes inrocksとは異なり、“Mr.X”はカラックスの才能を証明するものではあるが、カラックスの新たな一面を発見できるものではないと指摘している。つまり、ファンだけに向けられている作品であるという厳しい見解もあるようだ。  日本で果たして公開されるのかは分からないが、レオス・カラックスに関するドキュメンタリー、“Mr.X”はカラックス作品を改めて捉えなおすきっかけとなる作品であり、願わくばカラックスを知らない世代にとって、彼を知るきっかけとなる作品でもあってくれれば幸いだ。  「80年代後半に、ジャン=リュック・ゴダールが「レオス・カラックスについてどう思いますか?」という質問に答えている、非常に美しいアーカイヴのシークエンスがここに掘り起こされている。2秒ぐらい考察した後に、不可解な笑みを浮かべて、ゴダールはゆっくりと、あの伝説的な活気のない声でこう答える:「彼には是非とも、頑張ってほしい」」*(3) 楠 大史 http://ift.tt/1nNKtgz http://ift.tt/1qmnPRT *(2) http://ift.tt/1nNKtwP http://ift.tt/1cRl9UO *(4) http://ift.tt/1c9aXGL *(5)

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Toronto Review: 'While We're Young' is Ben Stiller's Best Role in Years

[World News #094]いよいよ今週13日(土)にノア・バームバック監督の『フランシ ス・ハ』が公開されます。バームバック監督は、日本でも注目が高まりつつあり、この作品の公開が待ち遠しい限りです。早くも、そんな同監督の最新作『 While We’re Young』がトロント国際映画祭で上映されました。 『While We’re Young』はこのようなストーリーであるそうです。ジョシュ・スレーブニック(ベン・スティラー)はかつて尊敬を集めたドキュメンタリー監督 で、いまは6時間に及ぶ自伝映画を完成させようとしており、妻であるコーネリ ア(ナオミ・ワッツ)はそんな夫の野心を支えています。この二人は若く彼を慕うジェイミー(アダム・ドライバー)とその恋人ダービー(アマンダ・シーフ リード)と出会い、このカップルと同じ時を過ごす中で、若い力を受け取ります 。ジョシュは若きジェイミーの野心に怒ってしまうこともありますが、ジョ シュとコーネリアは、新しい発見による新鮮な体験を求めます。 IndieWireのエリックコーン氏は「バームバック監督のこれまでの作品の中で最 もコメディーの王道に近いものとして、 キャラクターの経験と軽快で素敵な映画 自身を通して、日常の中で秩序が形作ら れる過程を記録している」といったように、レヴューで述べています。彼によると映画はストーリーの結末を語るより、マテリアルを押し出す方向へと向かいま す。単純に馬鹿げた行動を取るだけではなく、そこには深みを生じさせるような 演出がなされます。このように、次々にスティラーはコメディーを演じることにより、生き生きとした瞬間を映画に与え ます。 私は、低予算で役者の演技によって映画が成り立つコメディー映画監督としてバームバック監督に注目しています。『フランシス・ハ』では、レオス・カ ラックス監督の『汚れた血』で有名なデ イヴィット・ボウイ『モダンラヴ』が流 れたり、茶目っ気の多い監督でもありま す。 作家の一人となってきているのではない でしょうか。私はこれからもノア・バー ムバック監督の情報に注目していきたいと思っています。皆さんもひとまず、今週からの『フランシス・ハ』に駆け付け て見るのはいかがでしょうか。そして 『While We’re Young』の公開も期待し たいです。 http://ift.tt/1lNxpvW http://ift.tt/1qjxmJu 三浦 翔 http://ift.tt/1ofDLiA

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2014年9月9日火曜日

Guillermo del Toro Introduces YouTube House of Horrors: A Legendary Halloween [HD]

[World News #090] 六本木ヒルズのスタジオを無料で使える! ギレルモ・デル・トロ監督がアドバイザーとなる映像コンペが始動。 『パシフィック・リム』や『GODZILLA ゴジラ 』を製作したレジェンダリー・エンターテイメント社が、YouTubeと共同で “YouTube Space House of Horrors: A Legendary Halloween” という企画を立ち上げたと『Variety』が伝えています。(1)ギレルモ・デル・トロ監督がアドバイザーとなるこの刺激的な企画。実は日本からでも参加が可能!今回はその詳細をリポートします。 ギレルモ・デル・トロ監督によるメッセージ⇒ http://ift.tt/1AtZJot YouTubers(YouTubeのチャンネルを持っている人に参加資格があるそう)は製作した短編ホラー映画を自分のチャンネルにアップし、コンペに勝った作品はレジェンダリー・エンターテイメント社とライセンス契約を結ぶことになります。同社の全面バックアップのもと、YouTube 上でのシリーズ化や、劇場長編映画化するチャンスを得られるそう。もちろん世界中からの注目を集めることになるので、国際的な映画監督としての足がかりになることは間違いないでしょう。 具体的な手順を確認しましょう。9月22日から、参加者はYouTube社が世界4拠点に持つYouTubeスペースのセットを使ってオリジナルのショートムービーを製作します。ポイントはYouTubeスペースが東京の六本木ヒルズにもあること。(2)ギレルモ・デル・トロ監督の作品にインスパイアされたセットや機材を使い(無料)、ホラー映画製作のための様々なワークショップを受けながら作品を製作します。それぞれの地域の優秀者はギレルモ・デル・トロ監督からアドヴァイスを受けることができるそう。(3)映像のアップは10月27日締め切り。かなり短期間で製作しなければなりませんね。 一方で、この企画はギレルモ・デル・トロ監督が2015年10月16日にリリースする映画“Crimson Peak”のプロモーションでもあります。レジェンダリー・エンターテイメント社は『GODZILLA ゴジラ 』でもYouTubeを使ったプロモーションを行い、大きな成果を上げたそう。この企画もプロモーションとはいえ注目度の高いものになりそうです。 日本人の感性と非常にマッチした企画だと思うので、映画作家志望の方にはぜひチャレンジして欲しいです! 蜂谷智子 編集者・ライター Facebook( http://ift.tt/1nGCiFL ) (1)http://ift.tt/1lGerHO (2)http://ift.tt/1s9WD8e (3)http://ift.tt/1AtZMjY

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2015 Oscar Predictions: Best Picture

[World News #092] 2015年、第87回アカデミー賞 Indiewireによるオスカー予測 9月から3月まで、Indiewireは毎週、来る第87回アカデミー賞に向けて、その受賞作―作品、監督、男女優など各賞の予想を行う予定だ。「まだ早い」との声も聞こえてきそうだが、今年もベルリン、カンヌ、サンダンスなど知名度の高い映画祭がすでに終幕を迎え、世界的に有名な監督の新作や、観客からの熱狂的な支持を受けた作品は多数現れている。時期としては確かにまだ先ではあるが、映画ファンとしてはあれこれと候補作への想像を膨らませ、映画を見る上でのひとつの楽しみとしたいところ。そういう意味で今回のindiewireの試みは、まさに血が湧き、心が躍るものと言える。 今回(9月1日)の予想で取り上げた作品は、まずデヴィット・フィンチャーによる『Gone Girl』。シリアン・フリンの非常に有名な小説の映画化であり、近年『アルゴ』で最優秀監督賞を受賞したベン・アフラックが主演の作品。フィンチャー自身、かつて『ベンジャミン・バトン』と『ソーシャル・ネットワーク』で監督賞に2度ノミネートされていることもあり、この3者の組み合わせがどのような化学反応を生むか、期待は高まるところだ。 また、ポール・トーマス・アンダーソンの『Inherent Vice』。前作『ザ・マスター』で主演を務めたホアキン・フェニックスと、本作で再びコンビを組む。アンダーソンはこれが長編第7作目、年齢も44歳という若い監督ではあるが、これまで3大映画祭のすべてで監督賞を受賞するなど、国際的な評価は非常に高い。これまで4度、アカデミー賞にノミネートを重ねてきただけに、本作の受賞は、まさに機を熟してのものとなるかもしれない。 その他にも、『シカゴ』のロブ・マーシャルによるミュージカル大作『Into The Woods』、これまでの作品すべてで監督賞or作品賞へのノミネートをされている、スティーブン・ダルドリーによる『Trash』、ベネチア映画祭で絶賛を受けた、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの『Birdman』など注目作は多く並ぶ。まさに群雄割拠といった形で、どの作品が受賞しても何ら不思議はないだろう。 今の時点で、このような注目作が多数出揃っているのだから、半年後の映画祭に向けて、否応なしに興味は高まる。私自身も、今後の候補作の動向に対して、目を十分に凝らしておきたいと思う。 《今回、作品賞予想で上がった作品一覧》 1. Foxcatcher (ベネット・ミラー) 2. Birdman (アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ) 3. Boyhood (リチャード・リンクレイター) 4. The Imitation Game (モルテン・ティルダム) 5. Mr. Turner (マイク・リー) 7. Unbroken (アンジェリーナ・ジョリー) 8. Fury (デヴィッド・アヤ) 9. Interstellar (クリストファー・ノーラン) 10. Gone Girl (デヴィッド・フィンチャー) 11. Inherent Vice (ポール・トーマス・アンダーソン) 12. Theory of Everything (ジェームズ・マーシュ) 13. Big Eyes (ティム・バートン) 14. Into The Woods (ロブ・マーシャル) 若林良 大学院生。映画批評誌『MIRAGE』編集委員。 引用元 http://ift.tt/1lcXqSZ

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2014年9月7日日曜日

[World News #091] 第71回ヴェネツィア国際映画祭 脚本賞をイラン映画『Tales』(Ghesseha)が受賞しました! http://ift.tt/1tg8rnr 『Tales』はイランの現代社会で暮らす7人のショートストーリーから構成されています。7人の主人公のストーリーの多くは監督Rakhshan Banietemadの今までの作品の主人公を連想させ監督の30年間の集大成と言えるでしょう。日本にも何度も来日された女優Fatemeh (Simin) MotamedArya、アスガル・ファルハディ監督の『別離』と『ある過去の行方』に出演した俳優Peyman Moaadi、そして監督の娘で演技派女優Baran Kosariが出演しています。 監督Rakhshan Banietemadは1979年のイラン革命前からアシスタントとしてキャリアを積み革命後本格的に監督として活動を開始しました。監督はイラン人女性監督の先駆者として知られています。2014年7月5日に早稲田大学で開催されたシンポジウム『革命後イランにおける映画と社会―権威主義体制下の娯楽と抵抗の文化―』にてイラン人女性監督ナグメ・サミーニーとモナ・ザンディが、Rakhshan Banietemad監督がいるからこそ家族に監督になることを理解してもらうことができたと語っていました。シンポジウムのチラシにRakhshan Banietemad監督の写真が使われている事からもイランにおける女性監督を語るには彼女なしでは語れない事が伺えます。(関連記事:[World News #047] ★イラン映画のシンポジウムに関する情報〜『革命後イランにおける映画と社会―権威主義体制下の娯楽と抵抗の文化―』) 一方で、『Tales』がヴェネツィアで脚本賞を受賞したと同時にイランの文化・芸術活動を管理する政府機関Ministry of Culture and Islamic Guidanceの担当大臣が異議を表明しました。『Tales』は2009年に勃発した不正大統領選挙に対するイラン国民による大規模なデモ(Green Movement)を取り巻いて多くのイラン国民が直面している問題を描いていることから映画製作から2年間公開の許可がおりませんでした。またいまだにイラン政府からは国際映画祭への出品が許可されない状況での脚本賞受賞とあって担当大臣は『Tales』そしてRakhshan Banietemad監督を、イランの悪いイメージを国際社会に宣伝していると強く批判しています。 『Tales』は近年、国際映画祭に多くの映画を出品している民営配給会社Iran Novin Filmの作品である事でも注目されています。今後、日本での公開が気になります。 イランの映画産業と政府の関係そしてイランにおける女性映画監督の現状に関しては[World News #047] 及び[World News #057]をご覧ください。 『Tales』 http://ift.tt/1tg8rnr http://ift.tt/1xsdEPK http://ift.tt/1xsdDv3 [World News #057] http://ift.tt/1xsdF62 By Sevin アートな中東 http://ift.tt/1xsdDv7

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2014年9月4日木曜日

[World News #089] ペドロ・コスタ監督『Horse Money』インタビュー  『Horse Money』は、ペドロ・コスタ監督待望の長編新作だ。作品については、過去の記事を参照されたい。(*注)  主演には、『コロッサル・ユース』に引き続きVenturaを起用。ロカルノ映画祭で最優秀監督賞に選ばれ、10月7日からのニューヨーク映画祭への出品も決まっている。FilmCommentのインタビュー記事より、監督のコメントを訳出しながら、『Horse Money』の魅力と彼が巨匠と呼ばれながらインディペンデント映画監督であり続ける所以を探りたい。 ――以前「この作品を、今、好きになり始めている」と仰っていたと思いますが、監督は作品を作るときは、いつも編集もすべて終わってから徐々に好きになるのでしょうか?それともこの作品だけ?  今はもっと気に入っていますよ。特にほかの作品のカットやシーンが好きなだけで。この作品は、緊張感がうまく出ています。こうした緊張感は得られがたいのですが、Venturaの身体の持つ力ですね。彼は、私が映画に写そうと思うものそのものなんです。僕も「ここに立って」「そこを見て」と言うんだけど、セリフも、動作も、間の取り方も、結局は全部彼のものなんだ。 ――撮影当日に毎回彼ら自身にセリフを考えさせたということですが  そうです。前から変わらずこの方法をとっています。 ――撮影前には、どれくらい書くんですか?  毎日のように書いてますよ。でも、最近気づいたことなんですけど、僕の映画は、どれだけ同じダイアログを推敲したかじゃないんですよね。僕が言ってほしいことや役者が言いたいことがあるときに、それが伝わる方法をまず見つけなきゃいけないんです。Horse Moneyは、たくさんのテイクを重ねた『コロッサル・ユース』とは違うテンポで進みます。Horse Moneyも撮り直しはしたけど、それは違う理由で、です。もっと音楽的に確かなテンポを、確かな言い方を、視線を求めたからです。『コロッサル・ユース』はもっと映画的、って言えばいいかな。 ――なるほど。  こう言うと変に聞こえるかもしれないんだけど、『コロッサル・ユース』はHoney Moneyよりも、リハーサルを重ねた、純化されたものなんだ。対してHoney Moneyはすこし混沌としていて、生々しい。すこしミステリアスだとも思う。 ――これまでの作品よりも、かなりペースが速いということで。  やってみたかったことだったんです。うまくいくかどうかなんてやってみなければわからないし、考えている時間はなかった。それに、昔の映画が素晴らしいのは、ここにあるとおもったんだ。カールソンやフライシャー、ルイス・ブニュエルのような簡潔さだね。 ――ほかの記事であなたのコメントを拝見したのですが、「horseかmoneyのどちらか一つを選んで聞いてくれ」と。その時は記者がmoneyを選んで、100,000ユーロで映画を撮られた話に進んだと思うのですが、horseについて聞いたらどんな回答が聞けたのでしょう?  実はhorseを選んでもmoneyを選んでも、どっちでも同じなんですよ(笑)。どちらにせよお金の話なんです。どれくらい金がかかるか、撮った映画をどうするか、今日何をするか、有能なスタッフをだれが集めてくるか、何が必要で何が不必要か、スタッフをどうやって動かさなければならないか。映画を撮るのは何にしてもお金が必要です。馬は、お金以外の全部を指しています。僕のスタッフには、horseばかりを集めます。その人の持つすべての時間をこの作品に費やせる人です。自由で、時間があって、プロフェッショナル。だから人数は3人か4人で、それ以上には決してならないですね。スイスとかフランスとの共同制作とか、そういうのもやらないです。 ――全部ポルトガルで。 ええ。本当に小さなプロジェクトなんです。毎月の収入はスタッフみんなのものです。ほんとに何も買わないんですよ。昼ごはんも贅沢なんかしないで、みんなでサンドイッチ食べてます。 ――戦車のシーンはどうしたんですか?  軍隊に依頼したんですけど、ガソリン代を払わなきゃいけなくて(笑)。二人に運転してきてもらったのですが、渡したのは二人合わせて500ユーロなので、十分じゃなかったでしょうね。でも我々には大きな額でした。あとは全部偽物です。銃だっておもちゃですよ。  お金っていうのは本当に重要ですね。比喩でも何でもなくて、お金が映画を動かすんですから。Venturaが話すのはお金の話ばかりです。彼の年金、給料……。お金がない時ってそのことばっかり考えちゃうじゃないですか。彼はお金がないせいで婚約を解消されるのではないかとびくびくしている。彼にとっての婚約破棄は、僕にとっての映画が撮れなくなることです。僕の婚約は、映画と、それからその作品に携わるスタッフたちとのことだね。  僕の故郷では、本当にどこでも金の信用貸しが見られました。だから、映画よりクレジットの方が長いくらいなんですよ。昨日観た映画のクレジットの企業ロゴを全部数えたら、なんと700ありました。こういう金銭的な下地があって、ほかの投資を受けられるんです。映画より長いなんてちょっとばかみたいですけど、でもこういうのが今は失われているなあと思うんです。「企業ロゴで迷子になる時代」ですね、はは!これはいい。エレベーターとか物語の中で迷子になるのならいいんですけどね。 則定彩香 http://ift.tt/1ozAcYA 参考 http://ift.tt/1rMZV3f *注 三浦翔「World News #076 ペドロ・コスタ監督最新作『Horse Money』」http://ift.tt/1A8Zq2i

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2014年9月3日水曜日

祝30周年! 『ゴーストバスターズ』がスクリーンに帰ってくる! || TOHOシネマズ

[World News #088] 来るべきトロント国際映画祭、チケット「売り過ぎ」でファン困惑 9月4日からの開催が目前に迫っている第39回トロント国際映画祭(TIFF)で、「チケットの売り過ぎ」という異例の事態が一部の観客を困惑させている(#1)。 予定数を超えて販売されたのは、5日のワールドプレミアを控えたビル・マーレイ主演の『St.Vincent』(2013)と、犯罪ドラマである『The Drop』(2013)の2作品。 運営側は事故の原因をコンピューターシステムの不具合としており、TIFF副会長のジェニファー・ビルは、「不運にも、今年度のTIFFのチケットの注文処理を行っている間にコンピューターエラーが発生した。Princess of Wales theatre(上映会場)の収容人数の上限に達した後、システムは販売を中止することが出来なかった。その結果、これらの上映が予定数より多く売られてしまった。」と今回の経緯を説明している(#2)。 既にチケットの購入者には連絡がなされ、別の映画の座席が提供されているそうだ(または払い戻しを希望することも出来る)。しかし、『St.Vincent』の場合は2回の上映の内、初回のチケットのみがプレミアム上映に指定されていることもあり、主演ビル・マーレイのファンたちは落胆の色を隠せないことだろう。 その『St.Vincent』でビル・マーレイが演じるのは、大酒のみでギャンブル好きの生活難にある定年退職者。人間嫌いの彼が、隣に住む12歳の少年との生活を通じて次第に友情を育んでいくというこのコメディ作品(#3)は、今年のTIFFで最も期待されている作品の一つである。 TIFFでは9月5日をビル・マーレイの日と宣言しており、『ストライプス』や日本でもお馴染みの『ゴーストバスターズ』など多数の出演作品を上映予定だ。 騒動を経てビル・マーレイの演技に一層注目が集まることを期待しつつ、国内でも『ゴーストバスターズ』30周年を記念して再上映の動きがあることを見逃さないようにしておきたいところである(#4)。 西山晴菜 (早稲田大学文化構想学部) 参照 #1 http://ift.tt/1x3JfXz #2 http://ift.tt/1vX9fQe #3 http://ift.tt/1rYRQUO #4 http://ift.tt/1vLVbf4

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2014年9月2日火曜日



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[World News #087] 68年世代のアメリカを象徴する一人の黒人インディペンデント映画作家の死 2014年8月25日、ウィリアム・グリーヴス(William Greaves)が亡くなった(#1)。このニュースは日本でほぼ報じられることがなく、そもそも映画関係の文献や資料、メディアなどでもその名前が大きく取り上げられたことは殆どなかった。しかし、グリーヴスは世界的な政治的変革の時代である68年をアメリカで身をもって体現した映画作家であり、グリフィスの『国民の創生』(黒人が悪役やステロタイプとしてのみ描かれKKKがヒーローとなる)やステッピン・フェチットから連なるアメリカ黒人映画史の流れの中で自らをとらえていた聡明な映画人であり、そしてなにより、ドキュメンタリー映画がドキュメンタリー映画自体を最も過激に問いかけた前衛映画『シンビオサイコタクシプラズム・テイク1(Symbiopsychotaxiplasm: Take One)』の作者である。『シンビオ・テイク1』は、その奇妙なタイトルをそのまま反映したかのような、あまりに過激で実験的なスタイルから製作当時は理解されず、長らく一般公開されなかった。しかし、映画祭や美術館などで上映される中少しずつ口コミによってその異様さが広まり、今日では映画史上でも重要なカルト作品として広く認知され始めている。 グリーヴスの人生は、そのまま20世紀後半の最も重要な政治の季節をアメリカで生きた一人の黒人(アフリカ系アメリカ人)の肖像そのものである。1926年、ニューヨークのハーレムで生まれたグリーヴスは始め科学とエンジニアリングを学んでいたが、やがて舞台に興味を持ち、アメリカン・ニグロ・シアター(#2)に身を投じた。そして1948年、著名なアクターズ・スタジオに参加し、マーロン・ブランドやアンソニー・クイン、シェリー・ウィンタースらと演技を学ぶ。アクターズ・スタジオでの経歴は長期に及び、後にはリー・ストラスバーグの代わりにワークショップを行うこともあった。この功績から、ロバート・デ・ニーロやジェーン・フォンダらと共にニューヨーク市からDusa Awardを受賞している。 舞台からやがて映画へと活躍の場を広げていったグリーヴスだが、当時のアメリカでは黒人への差別と偏見からステロタイプ化された役以外を演じる機会がなく、徐々にフラストレーションを募らせていった。俳優から脚本・演出への進出を試みるが、マッカーシズムが吹き荒れていたアメリカ映画界では機会を得ることができず、奨学金を得てカナダ国立映画制作庁(National Film Board of Canada)(#3)に留学し、映画作りを学んだ。当時製作したドキュメンタリー短編『Emergency Ward』(59)は、映画史家によると「『60ミニッツ』+フレデリック・ワイズマン+メイスルズ兄弟」といった特異なスタイルが既に明らかであったとのことだ。カナダ国立映画制作庁での活動は11年間に及んだ。 60年代公民権運動の盛り上がりの中、故郷への思いを強めていたグリーヴスはようやく帰国を果たし、国連などから製作資金を得て複数のドキュメンタリー作品を発表する。とりわけ、1969年のマーティン・ルーサー・キング牧師暗殺直後に放映されたテレビシリーズ『ブラック・ジャーナル』は高い評価を集め、番組とグリーヴスの双方にエミー賞が与えられた。 1964年に自らの製作会社ウィリアム・グリーヴス・プロダクションズを創立したグリーヴスは、黒人問題を中心とした政治的ドキュメンタリー作品で既に高い評価を得ていた。しかし、そんな中撮られた一本の作品『シンビオサイコタクシプラズム・テイク1(Symbiopsychotaxiplasm: Take One)』は、そのあまりに前衛的なスタイルと内容、そして奇妙なタイトルから配給先を見つけることができず、長らく一般公開されないままお蔵入りとなってしまった。後に、評価の確立した黒人ドキュメンタリー映画作家としてグリーヴスのレトロスペクティブが開催された際も、「みんなに嫌われた作品」として本人は上映を望まなかったとのことだ。しかし、そこではじめて実際に見て衝撃を受けた主宰者によって、この作品はオープニング上映に選出された。 『シンビオ・テイク1』の衝撃は、やがて口コミによって少しずつ広まっていく。そして1992年のサンダンス映画祭で上映された際、観客の一人であったスティーヴ・ブシェミはこの作品にショックを受け、スティーヴン・ソダーバーグにもちかけることで、ついに2004年、全米で一般公開されることになった。ブシェミ&ソダーバーグは、さらに作品のラストで予告されていた続編製作にも協力し、資金を提供する。その作品は、35年後の続編『シンビオサイコタクシプラズム・テイク2 1/2(Symbiopsychotaxiplasm: Take 2 1/2)』として完成された。 その後もウィリアム・グリーヴスは妻ルイーズ・アーシャンボーと共に映画作家、そしてプロデューサーとしてアメリカのインディペンデント映画製作を支え続けた。日本ではいずれも一般公開されていないが、モハメド・アリとジョー・フレージャーの戦いを収めた『モハメド・アリ/ザ・ファイターズ』のみビデオ発売されている(#4)。1980年、グリーヴスは黒人映画作家の名誉殿堂に名を連ね、また同年、パリではじめて開催されたアフリカ系アメリカ人インディペンデント映画祭でスペシャル・オマージュを捧げられている。彼の作品は、世界中数多くの映画祭でたくさんの賞を受賞している。しかし、何よりもまず、日本では彼の代表作にして世にも奇妙な2本の作品『シンビオサイコタクシプラズム』がこれから本格的に紹介される必要があるだろう(#5)。 大寺眞輔 http://blog.ecri.biz/ http://ift.tt/1knGQPv http://ift.tt/NSy3rx #1 http://ift.tt/1p7JXsS #2 1940年にニューヨークのハーレムで創設された黒人劇団。俳優養成所を併設し、卒業生としてシドニー・ポワチエやハリー・ベラフォンテを輩出している。 http://ift.tt/ZPwLSn #3 初代長官であり優れた映画作家であるジョン・グリアソンのもと、ドキュメンタリーと短編アニメーションを中心に制作を続けている国立映画スタジオ。ノーマン・マクラレンやクロード・ジュトラらの作品がある。通称NFB。 https://www.nfb.ca/ #4 http://ift.tt/1rbM5VJ #5 9月12日ごろ掲載予定の次回boidマガジンの私の原稿でもこの作品を紹介する予定だ。 http://ift.tt/W5ePDq

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