2014年12月16日火曜日

And Soon the Darkness (2010)

[World News #144] アルゼンチンの映画協会がホラー映画ファンドを設立  アルゼンチンの映画、といわれてみなさんどんな一本が思い浮かぶでしょうか。日本ではさほど馴染みがないように思われるかもしれませんが、渋谷アップリンクとアテネ・フランス文化センター共同主催の企画として、今年2月には「アルゼンチン映画の秘宮」(#1)、9月にはアルゼンチンの若き才能として注目を浴びるマティアス・ピニェイロの特集上映(#2)が行われるなどその評価は徐々に高まりつつあるといえるでしょう。  またアルゼンチン本国では、2004年に「成瀬巳喜男監督映画祭」が開催、翌月にアンコール上映も行われており、世界各国の映画とともに日本映画も現地の人々に受容されているようです。  そんなアルゼンチンの映画業界がじきに、ホラー映画の分野で大きく飛躍するかもしれません。南アメリカにおけるホラー映画のジャンル的な発展を目指して、この分野の映画製作に政府が助成金を給付するファンドが設立されたことをIndiewireが報じています。(#3)  この一件は、ブエノスアイレスに拠点を置くサン・テルモ・プロダクションズのブログ内で発表されました。記事を書いたベンジャミン・ハーギンディー氏によれば、アルゼンチン出身でINCAA映画協会の会長を務めるルクレシア・カルドーゾによって設立されたこのファンドは、資金を供給することになる2作品の企画選出後、すぐに出資の呼びかけを開始するよう予定されているということです。    近年のアルゼンチン・ホラーの多様性について、ブログ内では吸血鬼が登場する『Darkness by Day』(2013)や、3Dでジャーロの世界観を体験する『Necrophobia 3D』(2014)、そして今年度のベルリン国際映画祭で批評家からの絶賛を浴びた『The History of Fear』(2014)などが代表に挙げられています。また、オカルトものの『Jennifer’s Shadow』(2004、フェイ・ダナウェイとジーナ・フィリップス出演)や、70年代のイギリススリラーをリメイクした『And Soon the Darkness』(2010、アンバー・ハードとカール・アーバン出演)といった作品は、米スタジオとの共同プロデュースにより製作されているということから、今後の国際的な製作提携にも一層期待が高まることでしょう。  この動きに伴う、アルゼンチンの映画祭事情についての記事がVariety上で公開されています。(#4)記事によれば、ファンド設立の動きと並行して「Blood Window(ブロード・ウィンドウ)」という単独のホラー映画祭が来年度から開催予定にあるといいます。この「Blood Window」とは本来Ventana Sur(ベンタナ・シュール)というローカルフィルム・マーケット内の部分的な催しとして2013年から行われていたものであり、来年度からは2000年から続く伝統的な「Rojo Sangre(ロホ・サングレ)」という映画祭と提携して本格的に開かれることになるようです。ブエノスアイレスで開催予定のこのホラー映画祭は、INCAAとカンヌの架け橋である12月初旬のラテンアメリカフィルム・マーケットと同時並行で行われることもあり、必然的に観客・業界共々の注目を集めることになるでしょう。  そのラインナップは、「Blood Window」の主催側と各国のジャンル映画祭――ファンタスティック映画祭(米・オースティン)、シッチェス・カタロニア映画祭(スペイン)、富川国際ファンタスティック映画祭(韓国)、モルビド映画祭(メキシコ)――のプログラム選定者により決定されることになっています。この中には、スペイン最大の映画祭、サン・セバスティアン国際映画祭のディレクターを務めるホセ・ルイス・レボーディノスもその名を連ねています。  以上のような動きの背景として、2014年を通じて選りすぐりのアルゼンチン映画が次々に予想以上の興行収入を収めたこともあり、アルゼンチンの映画業界には今後一層活発な動きが起こることが期待されます。ホラー映画は長年B級の烙印を押されてきたジャンルですが、映画におけるジャンルとは何か、という問いは今後改めて問い直される必要があるといえるでしょう。 早稲田大学文化構想学部4年 西山 晴菜 #1 http://ift.tt/1IW0bCS #2 http://ift.tt/1nMDDHA #3 http://ift.tt/1x9OAfQ #4 http://ift.tt/1u0BtsZ 『Darkness by Day』(2013) http://ift.tt/1IW0dL3 『Necrophobia 3D』(2014) http://ift.tt/1whIjZH 『The History of Fear』(2014) http://ift.tt/1IW0dL7 『Jennifer’s Shadow』(2004) http://ift.tt/1uRq79d 『And Soon the Darkness』(2010) http://ift.tt/1hFGVIv

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