2014年7月25日金曜日

[World News #064] ポール・トーマス・アンダーソン&トマス・ピンチョン『LAヴァイス』  監督ポール・トーマス・アンダーソンがトマス・ピンチョンの原作に挑んだ『LAヴァイス』(原題はInherent Viceで、「内在する欠陥」や「生まれつきのワル」といった意味)が、今年のニューヨーク・フィルム・フェスティバル(NYFF)でワールド・プレミア上映されることになった。NYFFでは、他にデヴィッド・フィンチャー『Gone Girl』プレミア上映も決まっており、今年最も期待されているアメリカ映画2本を独占する形となった。『LAヴァイス』の上映は10月4日であり、フェスティバル自体は9月26日から10月12日まで続く。(#1)  『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『ザ・マスター』などで知られるアンダーソンは、映画評論家から評価の高いアーティスティックで作家性の強い監督でありながら、同時に比較的大規模な予算で作品を撮る自由をハリウッドにおいて獲得している。新作が発表されるごとに、どの映画祭でプレミア上映されるか争奪戦が話題となり、すでにカンヌ、ヴェネチア、ベルリンという世界三大映画祭全ての監督賞に輝いている。ただし、本国アカデミー賞ではむしろこれまで正当に評価されていないと言える。極端な秘密主義者としても知られ、製作中の作品情報などは殆ど外部に漏れないが、『LAヴァイス』について現在までのところ確認された情報を以下にまとめておこう。  小説『LAヴァイス』の作者は、トマス・ピンチョンである。現代アメリカ文学を代表する偉大なる小説家であり、自らの素性を殆ど明かさない覆面作家としても知られている。このため、別の有名作家の変名ではないかと疑われたこともしばしばあった。2009年に発表されたこのピンチョンの長編第6作は、『重力の虹』の作家にしては比較的読みやすいことで知られている。1970年前後のカリフォルニアを舞台とし、チャールズ・マンソン事件やマリファナ文化を背景としている。主人公であるポットヘッド(マリファナ常用者)の探偵スポーテッロが元恋人の訪問を受けるところから物語は始まる。彼女から個人的な調査を依頼された探偵は、やがてその背後にある大きな陰謀に巻き込まれていくというもの。映画ファンであれば、アンダーソンが敬愛するロバート・アルトマン『ロング・グッドバイ』を想起するだろう。ピンチョンは、自作の映画化をこれまで認めてこなかったが、今回はそれを許したばかりか、噂ではアンダーソンによる映画化を喜んでいると伝えられている。さらに噂では、アンダーソンはピンチョンと直接会って映画化の件を話したとも言われている。(#2)  アンダーソンは数年に渡って『LAヴァイス』の脚色を進めてきた。2012年に行われたインタビューで、彼はこう述べている。(#3) 「一番難しいのは、400ページもある偉大な小説を110か120ページのスクリプトにするってことなんだ。どの段落にも、どのページにも偉大なものが詰まってる。こんな恵まれた悩みもないけどね。」 「僕はずっとピンチョンのファンだった。彼の小説は僕にとってまさにダイナマイトなんだ。すごく影響を受けてる。彼の本にはユーモアや狂ったもの、そして思慮深さがいっぱいだ。下らないジョークや奇妙なセックスと同様に、人間らしさや繊細さが一緒くたに投げ込まれてるんだ。」  『LAヴァイス』の音楽を担当するのは、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド。アンダーソン作品を担当するのはこれで三作連続となる。撮影は『ハードエイト』から『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』までアンダーソンと組んだロバート・エルスウィットが再び担当している。主人公の探偵に扮するのは『マスター』に続いての出演となるホアキン・フェニックス。製作開始前には、ロバート・ダウニー・Jrが強くこの役を望んでいたことでも知られている。(#4)共演は、ジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、リーズ・ウィザースプーン、ベニチオ・デル・トロなど。ウィザースプーンの役は、当初シャリーズ・セロンが想定されていたようだ。  主要キャストの一人ジョシュ・ブローリンは、『LAヴァイス』の撮影をこう振り返っている。(#5) 「ポール・トーマス・アンダーソンと仕事するってのは、まったく特別な体験なんだ。(ある場面を演出していて)よし、ここはこうやってみよう、いや、この台詞は囁くべきかな?やっぱり全体を一気に撮ってみようか?いや、その男を肩にもたせかけて、それで全部やり直してみるか?とか、そんなのばかり。現場のあらゆる場所に顔を出してくるんだ。もう毎日が完全にクソったれなカオスだったよ。良い意味でね。だって、何か仕事してるんだって気になるじゃないか。でも、それがどういう作品になるか。楽しみにしていよう。」 大寺眞輔 http://blog.ecri.biz/ http://ift.tt/1knGQPv http://ift.tt/NSy3rx #1 http://ift.tt/1k17JLA #2 http://ift.tt/RdD48n #3 http://ift.tt/1t306XB #4 http://ift.tt/1mMdWWh #5 http://ift.tt/1t306XF

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