2014年7月8日火曜日

Bernardo Bertolucci on Returning to the Director’s Chair and Why He’s Excited About the Digital...

[World News #053]ベルトルッチ監督インタビュー紹介  海外情報サイトIndie WireとFilm Commentに掲載された、ベルナルド・ベルトルッチ監督のインタビューを受けて、インタビュー記事内容に触れながら映画を考えてみようと思う。  イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督はこれまでに『殺し』、『ラスト・タンゴ・イン・パリ』や『ラストエンペラー』など数々の名作を生み出してきた。彼は病に倒れ車椅子生活を余儀なくされ引退も考えたが、最新作『孤独な天使たち』において見事に復活する。この新作の撮影中も彼は車椅子で活動する。にもかかわらず、映画からは何の苦も感じさせずに、これまでと違う「新しさ」さえもが伺える。  彼にとって、もう一度映画を撮れることは奇跡であった。若い世代の視点という点を除けば、映画を撮ることは普通の出来事であり撮影はスムーズに進んだという。撮影に際してベルトルッチ監督は、知らない世代のことについて役者に質問を繰り返していた。そのことが、ベルトルッチ監督の映画のなかで見られるある種のバラバラながらも生まれる一体感、お互いを認め合い愛し合う関係、がこの映画の中で若さとともに現れる要因になった。驚くべきは、撮影中に役者たちの身長が2cmも伸びたということだ。撮影は時系列に沿って撮られていたので、まさしく映画はストーリーテリングを超えて、ある生活、次の世代のドキュメントとなったのである。そう語る、ベルトルッチ監督にとって若い世代との撮影は「新しさ」への喜ばしき挑戦なのである。  生々しいセックス描写も見られず、『暗殺の森』のような政治性も見られないがゆえに、これまでと比べれば取るに足らないものであるかのように思える。が、部屋の中に自ら引きこもるというテーマはあらためて問い直される。また、結末に関して彼は、原作の投げやりな死を気に入らず映画では変更した、と語る。彼は、このことを歳を取るにつれて楽観的になったせいだと語るが、私にはあのラストの新しい日の光を浴びる描写が、次なる世代との関わりによって生まれたある種の肯定の身振りに思えてならない。このことが私が感じた「新しさ」なのかもしれない。  最後に新しい世代に向けられた監督の言葉をインタビュー中から訳出させてもらいます。  「(自作と若い観客との関係について聞かれて)とても興味があります。確実に言えるのは、若い観客は私の昔の作品を我々とは違った方法で見れるということです。私は若い人が何を考えているのかを知りたい。何故なら、彼らが何を好きで嫌いかということが、映画が何か違うものへと変わることに繋がっていくからです。」  「(テレビシリーズのブレイキング・バッドについて聞かれて)最近、これらのアメリカのテレビシリーズを見ています。私は、それらが映画とは違う新しい自由を持っていることを発見しました。ウォルター・ホワイトは電話を置いて、たっぷり10秒は時間をかけてものを考える。こういう時間の流れは編集でもたらされるものとは違います。映画においてはすごくアグレッシブな試みなのです。風景の中をただ横切るような登場人物を作る事なんてできないからね。時間をかける自由があるというのは素晴らしいことだよ。」  ベルトルッチ監督は、断念したもののデジタル3D撮影にも否定的ではない。確かに彼は楽観的のかもしれない。しかし、ここは単にそう捉えるのではなく、視野を広げ続ける巨匠の言葉として解釈しようと私は思う。なにより、その言葉の重要性は更新され続ける彼の作品が示している。映画館が無くなり否定的な面ばかりが語られるが、相次ぐソフト化に伴い手軽に彼の作品が見れるようになったことは逆に映画の細部を発見することを助ける。また、溢れた映像の中から新しい映像表現を見出していくことの重要性は、映像とともに育ってきた我々にとって(ベルトルッチ監督がそうであったように)これからも課題なのだ。我々が次なる世代として映画を更新していくために重要なのは、どこか遠くを見ようとするのではなく、近いところに多様な広がりを見出して行くことなのではないだろうか。私にはベルトルッチ監督の言葉がそう響いて来るのである。 Indie Wireでのインタビュー http://ift.tt/1mu14YJ Film Commentでのインタビュー http://ift.tt/1ofDNHl 三浦 翔 http://ift.tt/1ofDLiA

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