2014年7月15日火曜日

BELLE Movie Trailer

[ World News #058 ] イギリスの映画製作支援宝くじ、「多様性」が条件に   先日、英国政府の映画産業振興機関であるBFI (British Film Institute) が、インディペンデンス映画への抽選による製作資金援助* の申し込みに関して「スリー・チェック・システム」という新たな条件を設定しました。(#1) チェック項目は、 その映画が ① 映画の内容が多様性に富んでいるか ② 映画のスタッフが多様な人々で構成されているか ③ 若手クリエイターが自分の実力を示す機会となっており、社会的の変化をうながすものであるか の3つです。(#2)  ① に関してBFIはこの「多様性」を、「その映画が、民族性または国籍に関するアイデンティティ、女性の社会進出に関する問題、身体障害者、性的アイデンティティ、多様な年齢層、社会的に不利な条件に置かれたマイノリティの問題、または様々な宗教や信条に関して価値をおいていること」と定義しています。実際に映画では、少なくともメインキャラクターのうちの一人を含む3割のキャラクターが多様性をポジティブに反映したものでなくてはなりません。  ② については、製作に多様な民族や性的アイデンティティ、身体障害者、社会的に不利な背景をもつ人々が参加していることが奨励されており、監督や脚本家などの主要製作陣はもちろん、少なくとも各部門のリーダーが二人以上は多様なバックグラウンドをもっていること、と定められています。  ③は、報酬ありのインターン生の雇用や若手クリエイターへの仕事の提供に貢献しているかが問われるものです。  宝くじにエントリーするためには、少なくともこのうちの2つの条件が満たされていることが求められます。このシステムは、すでに多くの映画制作者から支持されており、今年の9月から施行される予定です。  この条件を満たしている例としてBFIがあげたのが、先月から欧米で公開がはじまった『Belle』(2013年) です。この映画は、リンカーンよりも100年近く早い18世紀後半からイギリスで奴隷解放運動をおこなっていた判事マンスフィールド卿と、その思想に影響をあたえたアフリカ系イギリス人の養女、ベルの物語です。奴隷制度が当たり前であった時代に、 黒人奴隷の母親と上流階級出身のイギリス人の父親との間に生まれ、貴族の家で英国人として育てられたベルの存在は、長いあいだ隠されていました。しかし2005年、一枚の絵画をきっかけに歴史家が研究を進め、養女となった経緯やイギリスの奴隷解放運動への貢献が明らかになります。それをドラマ映画化したのがこの作品です。  監督兼脚本は、ロンドン生まれのアフリカ系イギリス人、45歳の女性クリエイター、アサン・アマ。人種、階級、ジェンダーの問題を美しく、感動的なラブストーリーに織り交ぜ、穏やかでありつつもパワフルで挑戦的・破壊的なこの映画は、批評家やオーディエンスから賞賛されました。(#3)  近年、『英国王のスピーチ』(2010年) や『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011年) などの伝記もので成功している英国映画ですが、これからさらに変化を続ける多様な現代イギリス社会を反映した作品が多く生まれることでしょう。また、このような多様性を奨励するシステムは、日本を含める世界中の多くの映画関係者にもチャンスを与えてくれるのではないでしょうか。 "Belle" Movie Trailer http://ift.tt/1i08zEv  お読みいただき、ありがとうございました。今月から、英国のLeicester大学に留学にいってきます。現地から映画産業、文化などについて、レポートさせていただく予定です。またぜひ、よろしくお願いいたします。 Posted by 北島さつき *このBFIの抽選による資金援助からは、毎年約2700万ポンドが映画製作に提供されている。 #1 The Guardian "BFI sets diversity rules for access to lottery funding" http://ift.tt/1rMOzuT #2 Mail Online "Films must 'tick boxes' on diversity to win funds: BFI sets targets for number of female, gay and ethnic minority actors and crew" http://ift.tt/1ks8Gap #3 The Guardian "Belle review – a ripe costume drama with teeth” http://ift.tt/1px52T7

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