2014年8月29日金曜日

[World News #085]中国政府による北京独立映画祭の突然の中止 今月23日から中国・北京で開催予定であった中国独立映画祭(北京独立電影展)が、中国当局の圧力で強制的に中止となったとのニュースがBBC、AP通信により報じられた(*1)。 中止となったのは今年で開催11回目を迎える予定だった中国独立映画祭。政府が認可した映画以外の上映が禁じられている中国では、自主制作されたインディペンデント映画に対して厳しい規制がかかっているが、それでも国内ではインディペンデント映画を上映する映画祭が時々催される。多くの場合は政府の圧力により開催を断念せざるをえなくなるのが現状であり、この度も悔しくも強制的に開催中止となった。日本からは相田和弘監督のドキュメンタリー映画『選挙』『選挙2』が上映される予定だった。 当日、会場は警察車両に囲まれ、映画監督や観客が会場へ入らないよう封じられたとのこと。また関連文書や映画フィルム、そして映画祭を創設した映画評論家・栗宪庭(リー・シエンティン)氏が持つ映画制作事務所「栗憲庭電影基金」も捜索され、過去10年分の映画資料を押収していったそうだ。栗氏は映画祭開催の前の週、政府から中止するよう圧力を受け、警察の監視を受けているとインターネットに記していたともいう(*2)。一時身柄を拘束され、のちに解放された本映画祭のアートディレクター、ワン・ホーウェイ氏は「ここ数年中国当局から中止を迫られるなか、会場の変更や上映を遅らせることでなんとか北京独立映画祭を実現してきた」、「しかし、今年は開催できなかった。完全に禁じられてしまったのだ」と苦渋の思いを述べた。 実は、本映画祭の中国政府による強制的中止は今回に限ったことではない。2012年度の開催では、上映開始後間もなく電力が止められるという事態が発生し、映画祭のコーディネーターたちが必死で上映を続けるも3時間に満たないうちに終了した。昨年度の開催では公の場での上映すら禁じられ、内部上映という形で映画祭は実行された。 北京独立映画祭はワン・ビン、リー・ホンチー、グータオなどの優れた中国監督を発掘、支援してきたという実績もあり、近年影響力のあるインディペンデント映画祭に成長したことから、中国当局の監視下に置かれているようである。習近平政権はメディアを中心に情報統制を強めており、昨年8月には中国全土の宣伝担当者の会議で「イデオロギー工作は党の極めて重要な任務だ」と述べたばかりだ。 2012年度の映画祭に参加した中国の映像作家・呉亦(ウー・イー)氏は、「北京独立映画祭は中国のインディペンデント映画(自主映画)祭で、映画界にとってインディペンデント映画は伝統の1つである。ハリウッド映画もインディペンデント映画から多くを吸収し、そこから新たなものを創造している。しかし中国ではインディペンデントは害虫扱いされている」と、映画を規制する自国の体制に対立する意見を発表した(*3)。 *写真は本事件を揶揄するために描かれた風刺画である。 (記事・内山ありさ) *1 http://ift.tt/1pVLjvN *2 http://ift.tt/1l4w0R3 *3 http://ift.tt/1qEYj8Z *参考 http://ift.tt/1sJ6nUY http://ift.tt/1tBojm9



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