2014年8月11日月曜日

Saul Bass / - Design/Designer Information

[World News #073] 『シャイニング』ポスター制作に見る、キューブリックの作品世界 古典的サイコホラー映画として名高いスタンリー・キューブリックの『シャイニング』(1980)が、来る2015年に公開から35年を迎える。 スティーブン・キングの同名小説を映画化したこの作品は興行的に大きな成功を納めただけではなく、開発されて間もないステディカム(※1)による本格的な撮影と独特の浮遊感を伴う映像表現を実現するなど、映画史上における功績も偉大であろう。 後に数々のオマージュも生まれたこの映画の“顔”と言えるのが、ジャケットにも採用されたジャック・ニコルソンの狂気に満ちたクローズアップである。そのわずか2秒足らずのシーンのためになんと2週間もの撮影期間を費やし、100以上のテイクを重ねたというエピソードはキューブリックの行き届いた「完璧主義」を象徴するものと言える。このような彼の映画製作に対する態度は悪名高くさえあり、それは時に作品の内を出て宣伝商材までに及んだという。この作品のもう一つの印象的な公式ポスターを担当したソール・バス(※2)もまたその過程に携わった一人であり、キューブリックによって却下された彼のポスター案の一部と、完成形が出来上がるまでのプロセスが現在海外の文化教育メディアサイトOPEN CULTURE上にて公開されている。 Saul Bass’ Rejected Poster Concepts for The Shining (and His Pretty Excellent Signature) http://ift.tt/1tWXfjE ポスター案に手書きで書きこまれた「タイトルが小さすぎる」「迷路を強調しすぎている」「これではSF映画のように思える」といったキューブリックの細かな要求からは、彼が自身の確固たる作品世界を周囲に突き付けていたことが窺える半面、ポスターという図形表現が作品自体に与える影響がどれだけ大きいかをも考慮していたことが読み取れる。バス自身も、これらのキューブリックの要求に応えると同時に「私はすべてにわくわくしているんだ」「それら(のポスター内の要素)がいかに映画にとって強力で効果的な記号であるかということを、私は十分に説明できる」と書き記している。 このような試行錯誤の末、最終的に採用されたポスター案は当初のデザインとは全く異なり、一面の黄色のインパクトと点描によって浮かび上がる不気味な表情が目に焼き付いて離れない。あらゆるイメージが容易にコピーされ、オリジナリティや唯一性が希薄化してしまった現代にこそ、このような真摯な仕事を目にすることは、映画という一つの作品が複数の要素の集合体であることの再認識につながり、また、そこから映画という芸術に付きまとう「作者」の問題に直面するよい機会になるだろう。 西山 晴菜 (早稲田大学文化構想学部) 参照 IndieWire:Check Out Saul Bass Designed Posters For 'The Shining' Rejected By Stanley Kubrick http://ift.tt/1oggfY1 (※1)1970年代にギャレット・ブラウンが開発したカメラを載せるSled(スレッド)、スレッドを支持するArm(アーム)、アームを接続するためにカメラマンが着用するVest(ベスト)の基本構造を持つ撮影機材。カメラマン側の動きによる画のブレを最小限に抑え、滑らかな映像を撮影することが可能となった。 About Steadicam http://ift.tt/1vxngHR (※2)アメリカ合衆国のグラフィック・デザイナー。映画のタイトルデザインの第一人者として活躍し、オットー・プレミンジャーやアルフレッド・ヒッチコックなど数々の有名監督の作品にタイトルデザインを提供した。 Designmuseum http://ift.tt/13AfdZQ

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