2014年8月13日水曜日

[World News #075]「交霊術」で蘇る失われたサイレント映画の歴史 リュミエール兄弟が最初の映画を撮ってから来年で120年。多くの名作が世に生まれ、また失われてきました。特にサイレント映画時代のフィルムは保存状態も満足でなく、名だたる監督の作品であっても鑑賞が難しいものも多くあります。もちろんそういった現状に対してフィルムの修復などの処置が取られていますが、それとは全く違う独創的な方法で映画を甦らせようとしている監督がいます。 それがカナダの奇才、ガイ・マディン監督。映像プロジェクト『Seances (交霊術)』は、修復が不可能なサイレント・フィルム100本(!)を、1日1本(!)のペースで再現撮影する試み。再現された映像は後にひとつの作品としてまとめられるとのことです。(1) このプロジェクトにはシャーロット・ランプリング、マチュー・アマルリック、ウド・キアなど、実力派のキャストが多数参加しています。再撮影された作品のラインナップも溝口健二のデビュー作『愛に甦へる日』や、エルンスト・ルビッチの初期作品『Intoxication 』など、興味深いラインナップ。これらの作品の撮影は、2012年3月のフランス、ポンピドーセンターを皮切りに、カナダのPHIセンターでも行われ、撮影の様子が一般に公開されました。今後もロンドン、ニューヨーク、サン・パウロなどで撮影が予定されているようです。 この刺激的なプロジェクトを進めるガイ・マディン監督といえば、サイレント映画の手法を使って、ロマンティックでシュールな世界を描き出すのが特徴。ディビッド・クローネンバーグやアトム・エゴヤンと並んで、カナダ出身の独創的な映画作家として世界的に評価されています。(2) 日本では『ギムリ・ホスピタル』が1991年、『アークエンジェル』が1992年に公開されましたが、その後殆ど一般公開されていません。2004年には東京フィルメックスで特集上映が組まれ好評を博しましたが(3)、その後もガイ・マディン監督は多くの作品を世に送り出しています。この野心的な『Seances (交霊術)』のプロジェクトをきっかけに、知られざる巨匠の作品をまとめて観るチャンスが訪れるよう、祈っています。 蜂谷智子 編集者・ライター Facebook( http://ift.tt/1nGCiFL ) (1)http://ift.tt/1rodVMd (2)http://ift.tt/Y2dAGp (3)http://ift.tt/Y2dAGq



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