2014年6月25日水曜日

Truffaut - La Cinémathèque française

[World News #044] 『私たちの宣戦布告』のヴァレリー・ドンゼッリ監督、フランソワ・トリュフォーによって撮られることのなかったシナリオを元に、新作を制作中。  ヌーヴェル・ヴァーグを象徴する巨匠の一人、フランソワ・トリュフォー。今年はトリュフォーの没後30年記念特集が日本で10月に予定され、フランスではシネマテーク・フランセーズでトリュフォーの展覧会の開催などが決まり、*(1) トリュフォー熱が盛り上がりを見せる最中、フランスの新鋭女性監督、ヴァレリー・ドンゼッリが果敢にも、トリュフォーが手放したシナリオを元に映画を制作しているという情報が飛び込んできた。*(2)  「Histoire de Julien et Marguerite」(ジュリアンとマルグリットの物語)というトリュフォーが1973年に断念した企画は、トリュフォーを長年に渡って支えたヌーヴェル・ヴァーグの伝説的な脚本家、ジャン・グリュオーによって執筆されたものだった。内容は実の兄と妹の近親相姦による愛の関係を描いたものらしく、17世紀に実際起こった、近親相姦の罪によって処刑されたラヴァレ家のジュリアンとマルグリットに関する案件を下敷きにしたものだという。  結局、トリュフォーが企画を手放した主な理由は、企画が持ち上がった1970年代初めは「性の解放」運動などが活発となっていた時代だった為、作品の主題が当時話題となっていたものを取り扱い過ぎていると判断してしまったのが原因らしい。しかし、カプリッチ(またの名をカプリッチ・フィルム)が今ではその幻となってしまった企画のシナリオをシネフィル達のために、出版するという英断を下した。2011年に出版された本の題名には「フランソワ・トリュフォーの映画のためのシナリオ」という副題まで付けられ、シナリオの本編はトリュフォーの映画のイメージを彷彿とさせる、ファンにとってかなり魅力的な内容となっているらしい。*(3)  そしてカプリッチが蒔いた種は見事にヴァレリー・ドンゼッリの心を捉えた。そのシナリオに描かれたイメージに魅せられたヴァレリー・ドンゼッリは、彼女がシナリオに見出したイメージに命を与えるために、自分自身のヴィジョンからシナリオを再構成する方針を取ったようだ。  今回の企画のために、ヴァレリー・ドンゼッリは主演男優のジュリアンとして『私たちの宣戦布告』にて同じく脚本・主演を務めたジェレミー・エルカイムを起用し、また主演女優には最近注目を集めている若手女優のアナイス・ドゥムースティエ(『美しき刺』レベッカ・ズトロヴスキ、『Bird People』パスカル・フェラン)がマルグリット役として出演することが既に決定しているという。  現代フランス映画監督の中でも注目されている女性監督、ヴァレリー・ドンゼッリがトリュフォーに捧げる愛は一体どのような形となるのだろうか。そんな期待に胸を弾ませつつ、続報に期待しよう。撮影は今年の10月からスタートする模様。 楠 大史 参考資料: シネマテーク・フランセーズ、フランソワ・トリュフォーの展覧会 http://ift.tt/1loCR6r http://ift.tt/1jgHvyJ *(2) カプリッチ出版、『ジュリアンとマルグリットの物語―フランソワ・トリュフォーの映画のためのシナリオ』ジャン・グリュオー著 http://ift.tt/1loCQzl *(3) 『わたしたちの宣戦布告』公式ホームページ http://ift.tt/1jgHxGX 補足 ジャン・グリュオーが関わった一部の作品: ジャン=リュック・ゴダール『カラビニエ』 ジャック・リヴェット『パリはわれらのもの』 フランソワ・トリュフォー『突然炎のごとく』、『野生の少年』、『アデルの恋の物語』、『緑色の部屋』、『恋のエチュード』 など。

from inside IndieTokyo http://ift.tt/1loCQzn

via IFTTT

0 件のコメント:

コメントを投稿