2014年5月27日火曜日

映画『イーダ』オフィシャルサイト

[World News #024] 新たな視点で語りなおされるポーランド史 2013年のトロント映画祭において国際批評家賞を受賞し、昨年日本で開催されたポーランド映画祭2013でも高い評価を得たパヴェウ・パヴリコフスキ監督による『Ida』。ポーランド映画界を照らす新しい光が、イギリス在住の映画監督によってもたらされたのは、興味深い事実です。 パヴリコフスキ監督は1957年、ポーランドのワルシャワ生まれ。14歳の時に共産主義体制のポーランドを出て、イタリアやフランスを経てイギリスに居を定めました。80年代後半から90年代にかけてパヴリコフスキ監督は主にドキュメンタリー作家として活躍。(1) 2000年代には『My Summer of Love』や『The Woman in the Fifth』などのフィクションを撮りますが、それらは全く『Ida』とはタイプの違う作品でした。『Ida』は50代のパヴリコフスキ監督にとって自己革新的な映画だと評価されています。(2) 『Ida』は60年代のポーランドを舞台に、秘められていた自らのユダヤ人としてのルーツを知った少女の心の揺れを描いた映画です。モノクロの映像、美しい構図、極端に切り詰められたセリフによって、ホロコースト、共産主義の抑圧といったポーランドの悲劇を現代的な映像で語りなおしています。 60年代のポーランドといえば、アンジェイ・ワイダ、アンジェイ・ムンク、イエジー・カヴァレロヴィッチなどそうそうたる映画監督が活躍した時代ですが、パヴリコフスキ監督は『Ida』を撮るにあたって特定の映画監督に影響されたことはないと言います。むしろ彼の家族のアルバムや幼少期の思い出などがこの映画のイメージソースになっているとのこと。また撮影スタイルは彼の映画製作のキャリアから導き出されたものだそうです。(3) パヴリコフスキ監督のヨーロッパ各国を渡り歩いたグローバルな視野と、映画製作の幅広い経験、そして故郷を離れたことでかえって純化された祖国への思いが豊かな想像力となって『Ida』に結実し、ポーランド映画史に残る作品たらしめたのでしょう。 歴史を語りなおすということは、映画をはじめとした物語芸術のひとつの役割だと思いますが、直接的にはその時代を体験していない世代がどうアプローチするのかという問いに対するひとつの答えが、この映画にはあります。外側から歴史を検証できる広い視野を持つことと、過去に生きた人々に寄り添う想像力を持つこと、このふたつを両立させることが、歴史を誠実に語るために必要な心構えなのではないでしょうか。 『Ida』は8月2日よりシアターイメージフォーラムにて公開されます。 オフィシャルサイト http://ift.tt/1hd9NsK 予告編 http://ift.tt/SI8mgv 蜂谷智子 (1) http://ift.tt/SI8mgx (2) http://ift.tt/Sa3YWM (3) http://ift.tt/SI8mgy

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